2010年06月02日

【重要事項:続き】放棄するその理由について。

ひとつ前のエントリーで公開した「歌詞使用条件」ですが、

http://mak-kanzawa.seesaa.net/article/151848916.html
(にゃっぽん外部公開URL: http://v-nyappon.net/?m=diary&a=page_detail&target_c_diary_id=832241


一部の項目で「対価の受け取りは放棄する」とした理由について
説明します。



にゃっぽんの日記では以前にも書きましたが、俺は基本的に
「自分の書いた詞がコンテンツになって、
 結果として対価が発生しても、受け取るつもりはないですよ」
というスタンスです。

「金もらえるならもらっときゃいいじゃん。
 何キレイゴトぬかしてんの?」
と言われるであろうことは承知していますが、
なぜそういうスタンスなのか、改めてちゃんと説明したく。


俺が「金イラネ」と言っている理由は、以下の通りです。


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【理由1:自分の作品のクオリティに対する疑念】
 にゃっぽんの日記でも書いたけど、俺は自分の歌詞のクオリティに
 そんな絶対的自信を持ってるわけじゃありません。
 今でもやっぱり
 「俺の詞より、あの人やこの人の方が全然クオリティ高い。
  いくらCD売れたからって、俺が対価を素直に得ていいの?」
 という気持ちがあります。

 誰のこととは明示はしませんが、
 俺より遥かにセンスの良い高品質な歌詞を書き、
 ニコで何作も殿堂入りを果たしているような人なら、
 存分に対価を得る権利もあるし、実際受け取るべきだと思う。
 でも、俺の作品は、そういう人たちのレベルには
 到底届いていません。
 ぶっちゃけ言えば「対価を受け取るに足るクオリティではない」。
 自分ではそう思っています。


【理由2:成果物に対する投資額の違い】
 コンポーザーさんは、各種ソフトや楽器など、
 作曲にあたって様々なアイテムに多額の投資をしている人が
 多いと思います。
 同様に絵師さんや動画師さんも、ソフトや機材に投資をして
 作品を仕上げているはずです。

 しかるに作詞はどうでしょう。
 高価な自作PCを組む必要もなければ、専用のソフトが要る
 わけでもない。
 まったく「それ用の投資」を必要としない上に、
 敷居が低いから誰にでもできる活動です。

 創作活動に対する対価というものは、そのための投資をした
 人に対して、その投資に見合うだけの割合で還元されるべきだと
 思います。
 そう考えると、何の投資もしていない俺が、
 コンポーザーさんや絵師さん・動画師さんの得るべき対価を
 (たとえ上澄み部分だけでも)かすめ取るようなことは
 あってはならないと考えます。


【理由3:作詞環境と良心の呵責】
 実は、ピアプロに歌詞が投稿できるようになって以降に
 書きおろした詞の中で、自宅で(=自分の時間を割いて)
 書き上げたのは「サクラアメ」1本だけだったりします。
 それ以外の詞は、全て職場で書き上げたものばかり。
 (会社で取りかかる⇒自宅でちょっと追記⇒会社で完成、
  っていうのも一部あるはありますが)

 夜勤や休日出勤の最中に、アイドルタイムを利用して書いたり、
 あるいは平日にも、仕事しているフリをしてこっそり書いてたりw

 つまり、「自分の時間」ではなく、「公人としての時間」を
 ムダ使いして創作活動していうことになります。
 言い換えれば、単なる「給料ドロボー」ということになるわけでw
 (自慢にも何にもならないのは重々承知していますが…)

 コンポーザーさんや絵師さんは、基本的に「自分の時間」を
 きっちり使って作品を作っている人ばかりなわけですから、
 成果物と、それに費やした時間に対する「正当な報酬」を
 受け取る権利があります。

 翻って俺はどうでしょう。
 「自分の時間」を割いていないのに、そういう「正当な報酬」を
 受け取れるとは到底思えません。
 他の人たちと同じように対価を得ることには後ろめたさを感じます。


【理由4:自分の作品が自分で自由に使えないのはイヤ】
 真っ先に前提条件として「JASRAC等に権利が信託されるなら不可」
 と書きましたが、これは別に「JASRACが嫌いだから」という
 理由ではありません。

 権利を他者に信託し、手元から離してしまえば、
 当然のことながら「自分の作品なのに自分で自由に使えない」
 という状況になるわけで。
 ライナーノーツひとつ書くのにも、権利者団体の許可を得て
 使用料を支払って…と、そんな手間はかけたくありません。
 なので、対価は得られなくとも、著作権は手元に置いて
 おきたいのです。
 「自分の作品ぐらい自分で自由に使う権利は持っていたい」
 ってのは、誰しもが思うことなんじゃないでしょうか。


【理由5:とにかく契約の話が面倒くさい】
 CDにしろ、その他のコンテンツ形式にしろ、
 話がまとまれば当然「契約書」というものが付随してくるでしょう。
 ぶっちゃけ、それに目を通すのがすこぶる面倒くさいし、
 そもそもそういう肩肘張った話をすること自体が面倒なんです。
 目ェしばしばさせながら、契約書の細かい文字を読み込む
 ヒマがあるなら、その分少しでも作詞に時間を割きたい、
 というのが本音のひとつです。


【理由6:レーベルに買い叩きの口実を与えたくない】
 2010年3月〜4月のあたりで、
 2ちゃんねる・YouTube板の「VOCALOID 議論隔離スレ」において
 クリエイターへの利益還元についての話題が俎上にのぼったことが
 ありました。

 [一般流通CD⇒クリエイターへの利益還元]
 VOCALOID 議論隔離スレ part152
 http://pc12.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1267915987/136-

 [カラオケ⇒クリエイターへの利益還元]
 VOCALOID 議論隔離スレ part153
 http://pc12.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1270809795/400-

 同じ頃、そそそPのブログでもこんなエントリーが。

 VL-SCRAMBLEに参加した理由
 http://sososo.seesaa.net/article/144328211.html
 その記事のコメントに対するレス
 http://sososo.seesaa.net/article/144377205.html

 以下少々引用します。

 --ギロカクPart152から抜粋--
 http://pc12.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1267915987/151

 > 151 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 00:47:53 ID:OBnEq9B90
 > >>144
 > コンピCD企画でPを集める
 > ↓
 > ロイヤリティ交渉をする
 > ↓
 > ひとりのPが「面倒だからお金は要りません、勝手に使ってください」と言う
 > ↓
 > ○○Pが無償でいいというんだからお前らも従え、1人でも落ちたら企画自体無くす
 > ↓
 > P全員がロイヤリティ破棄の憂き目に
 >
 > こんな所だろう
 > 十分予想できてた話だ
 ------

 --そそそPブログから抜粋--
 >
 > 「産業」ということは、金銭が動くということです。
 > 自分の作品を無価値であるとは考えていません。
 > ただ適正な価格は自分自身ではわかりません。
 > しかし安すぎてはいけないのです。絶対に。
 >
 > デフレ化を生み出してしまうからです。
 >
 >  (中略)
 >
 > 価値あるものを作っても「あの人はゼロ円だからあなたもゼロ円で」と
 > それを常識化しては絶対にいけません。
 >
 ------

 俺の「金イラネ」というスタンスは、
 まさにそそそPが危惧している「デフレ化を生み出す」考えに
 他ならないでしょう。
 そして、それをどんな相手にでも押し通してしまえば、
 ギロカクPart152の>>151がゲスパーしたような結果が
 その先に口を開けて俺(たち)を待ち構えることになります。

 特に一般レーベル(わけてもEXIT TUNES)に対して
 「俺は金要りませんから」と言えば、その先どういうことになるか。

 以前、同じくYouTube板の「最底辺Pスレ」「辺境Pスレ」で
 164氏(「shiningray」などのヒットでおなじみのPさん)が
 EXIT TUNESに対する不満を盛大にぶちまけていたことがありました。

 最底辺スレのログは消してしまったので、
 以下辺境スレのログから抜粋。

 ------
 【VOCALOID】辺境Pの集う酒場 8マイリス目【とりあえず殿堂】
 http://pc12.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1255284983/536

 > 536 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 15:30:41 ID:cQUVrvXV0
 > 流れてきました。
 > お金とか数字辞めろっていうから空気よめないアホなぼくはミックス談話に混ざったつもりでした。
 > 「やりすぎだ」っていわれるまで気づかず。
 > むこうでほんと迷惑かけてしまってほんとに反省してます。
 >
 > ほんとに悩んでました、CDだして時期がきたらうpしてる曲消そうと思ってます。
 > あんなのもうぼくの曲じゃない。
 > 欲しいのはお金とかじゃないんです、ただの奇麗事にとられるかもしれませんが。
 > ただCDって特別なもんだから、
 > 例えば物書きさんが小説出版するみたいなもんで、
 > 「レーベルからCDだせる」ってめちゃくちゃ嬉しいんです。
 > でもさすがにアルバム名を自分で決められないとは思わなかったし、
 > 3部作とか聴いてないし、
 > 203ロゴ入れてくれって言っても却下されるし、
 > supernovaに入る曲は自分のアルバムに入れられないし。
 > 他にも言い出せばキリがないですが貰うお金ってタダ単に売り上げ云々じゃないのかって思って。
 > 権利ごと売ってるのかと思って。
 >
 > 愚痴を残したくて残したくて勝手に選んだ場所があそこでした。
 ------

 残ったものは「『自分の想い』を何ひとつ詰められなかったCD」。
 コンポーザーのほんのちょっとのリクエストも汲んでくれないような
 いい加減なレーベルに対して「俺金イラネ」なんて言えば、
 そこから先、すべてのクリエイターが、
 そそそPが危惧したように「買い叩かれて」しまうことになるでしょう。

 大手だろうがインディーだろうが、
 「これまでのやりかた」に慣れてきたレーベル連中が相手なら、
 どのみちそういう結末しか見えません。

 当初、一般流通CDへの収録を「基本的に不可」としたのは、
 そういう理由からでした。
 俺が「金なんていらない」ということで、
 他のすべてのクリエイターが、受け取れるはずの対価を受け取れなくなる、
 ──そういう状況が発生するのがイヤだからです。

 今は利益還元がほぼ皆無なカラオケにしたって、
 今後クリエイターに報酬がわたるようになった時に、
 なお「俺は報酬を放棄します」と言えば、
 「あ、じゃ今まで通りタダでやっちゃっていいのね?」と
 エクシング側に思わしむることにはならないだろうか、と
 不安を持たざるをえません。

 その点で、現在のところ唯一安心できるのが、KarenTレーベルです。

 ゴゼン氏の配信アルバム『15 a.m.』に、
 俺が作詞した曲「あした」が収録されていますが、
 http://karent.jp/album/22

 このアルバム配信にあたり、俺はゴゼン氏に
 「俺の取り分は、受け取りを全部放棄します。
  配信で発生した利益は、ゴゼン氏の総取りにしてください」
 と伝えました。
 その結果、俺のところには契約書も何も回ってきていません。

 しかしその後、これが元でクリプトンがクリエイターを
 買い叩くような事態は発生していないようなので
 (そんなことになっていたら、他のPが声を大にして告発するはず)、
 クリプトンは、俺みたいなひねくれた考えの人間がいようとも、
 それに引っ張られることなく、ちゃんとクリエイターに
 利益を還元してくれているのだな、と想像しています。

 だから今後も、KarenTレーベルからの配信については
 基本許可の方針でいくつもりです。
 また、KarenT以外の一般流通CDの場合でも、
 クリプトンの主導による企画であることが判断できる場合には、
 許可させていただくことになるかと思います。
 (改訂版の歌詞使用条件・項番 2-2) において、
  「レーベルを見て判断する」と書いたのは、そういう理由です)

 いずれにせよ、報酬(金銭によるロイヤリティ)の受け取りは放棄する、
 というスタンスは変えるつもりはないです。

 ちなみに、ドワンゴからの着うた配信について
 「事前連絡をいただければ検討する」という、
 どちらかというと後ろ向きな言い方をした理由ですが、
 現在のところ、当方の作詞した曲で唯一配信されている
 「Blue Rose」の契約書が、未だにこちらに届いていないからです。

 「Blue Rose」については、配信元であるドワンゴにも、
 コンポーザーであるKouhei氏(おっさんP)にも、
 「利益の受け取りは放棄する」という方針は全く伝えていません。
 なので、俺のところにも配分が入ってくる可能性があるのですが、
 今もってドワンゴから契約書がKouhei氏の手元に届いたような
 形跡がないようです。
 (契約書が届いたのなら、俺のところにも連絡があるはずですが)

 面倒な金の話をしなくて済むので、そういう現状は楽っちゃ楽ですが、
 配信開始から1年以上経過しているのに今もって書類が来ないという
 そのいい加減さから、俺はドワンゴを信用していません。
 「本音を言えば『不可』としたい」とボヤいたのは、そういう理由です。

 (それに「金イラネ」な話になったら、ドワンゴみたいな
  「昔からのやりかた」に慣れきった会社は、ここぞとばかりに
  他のクリエイターにも報酬を出し渋るでしょうし)

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長々と書きましたが、とりあえず3行にまとめるなら

・いろんな意味で金を受け取れる立場じゃねぇ
・それに契約書読んだりするのめんどくせぇ
・自分の作品ぐらい自分で好きに使わせろ

ということです。


そしてもうひとつ。

・俺は金いらんけど、他の人にはちゃんと金が渡ってほしい

この気持ちは変わりません。


得るべき人が、正当な報酬を得られる、
そういう仕組みが、ちゃんと構築されてくれればいいと思います。
そしてできれば、俺みたいに
「報酬なんて別にいらない」という考え方も受け入れてもらえると、
その上でしかるべき人たちがちゃんと報酬を受け取れると、
──そういうシステムがいちばん理想なんですけどね。
posted by mak.kanz@wa at 04:31| 歌詞使用条件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【重要事項】当方の歌詞を使用いただく方へ。

以前、にゃっぽんの日記で公開していた「歌詞使用条件」について、
このほど再度見直しを行いましたので公開します。

なお、にゃっぽんでも外部公開日記として掲載しています。
http://v-nyappon.net/?m=diary&a=page_detail&target_c_diary_id=832241

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【(0)前提条件】
 下記の場合は、内容の如何に関わらず使用不可とさせていただきます。

 0-1) JASRAC等、各種著作権管理団体に権利が信託されるケース
 0-2) その他、歌詞の著作権が当方の手元から離れて、
    第三者に移行するケース


【(1)ライセンス・クレジット表記に関して】
 1-1) ピアプロにアップ済みの歌詞を使用される場合は、
    作品に付与されているライセンス条件を遵守願います。
    ライセンスが付与されていない歌詞については、
    お手数でも当方へ問い合わせをお願いします。

 1-2) ピアプロにアップされていない歌詞を使用される場合は、
    「作詞:mak.kanz@wa」のクレジットを入れてください。
    (直接依頼をいただいた分など)

 いずれの場合も、使用時には当方までご連絡をいただけるよう
 お願いします。


【(2)CD収録に関して】
 2-1) 同人CD収録
  ⇒事前の連絡さえいただければ、
    基本的に収録を拒否することはありません。
    万が一、CD頒布後に利益が出た場合の還元ですが、
    金銭的還元については、一切受け取りを放棄します。
    報酬代わりに、歌詞使用曲が収録されたCDの現物を
    1枚いただけるとすごく嬉しいですw
    (CDについては、実費入手でも問題ありませんので、
     現物支給は「気が向いたら」レベルで結構です)

 2-2) 一般流通CD収録
  ⇒まずは事前連絡をください。
    当該CDの取り扱いレーベルを見た上で、判断させていただきたく思います。
    (場合によっては「収録不可」とさせていただく可能性もあります)

    これは俺自身の活動方針とも関連してきますが。
    理由については、別エントリーで記載しています。


【(3)音楽データ配信に関して】
 3-1) ドワンゴからの着うた配信について
  ⇒事前連絡をいただければ、配信可否について検討の上
    回答させていただきます。
    (本音を言えば「不可」としたいんですが…w
     その理由については別エントリーで記載します)

 3-2) KarenT経由の楽曲データ配信について
  ⇒こちらについては、事前連絡さえいただければ
    今後も基本的に拒否することはありません。

 なお、いずれの場合も、配信された楽曲のダウンロードに伴って
 発生する利益については、一切受け取りを放棄し、
 作曲者の総取りとさせていただきます。


【(4)カラオケ配信に関して】
 本項も 2-2) と同様、今後の万が一を考慮して規定します。

 現状のシステム(作者への利益還元面で)である限りは、
 配信決定した場合、基本的に拒否することはありません。
 (もともと利益が還元されないのであれば、
  余計な心配や手続きをしなくて済むので)

 ただし、今後システムが整備され、作者に利益が還元される
 ような仕組みになった場合は、配信について許可するかどうか
 再検討することになります。
 (場合によっては「基本的に不可」にシフトするかもしれません)


【(5)その他】
 上記以外のケースの場合は、都度ご相談とさせていただきたく
 思います。
 お手数でも、当方までご連絡をお願いします。

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上記文中でも記載した「理由」については、
この後の記事にて説明します。
posted by mak.kanz@wa at 04:24| 歌詞使用条件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする